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北の大地の琺瑯引き

ノロッコ号で塘路(とうろ)駅から折り返す。引き続き乗り込んで、望遠レンズに替えて待った。
観光ガイドさんが「のろのろ走るからノロッコ」と言っているのを聞いて、安心してはいけない。わりにスピードを出す、緑色のディーゼル機関車である。
釧路湿原を縫い、だんだんと駅が迫ってきた。窓から構える。なかなか駅名標の近い位置に停まってくれないのはいつものことである。
レンズの先には北海道の定番、国鉄末期に設置された縦型の琺瑯(ほうろう)引き駅名標だ。紺地に白文字、ひらがなの書体はすみ丸ゴシック。下にはサッポロビールの広告が入る。いかにも北海道らしい。分かっていても見たくなるご当地のかたちだ。
書体はJR東海の駅名標に受け継がれるが、そのルーツの一端がここにある。琺瑯は寒冷地にもよく耐え、まだ各駅にしっかり残っている。なんとか永らえて欲しいものだ。

2017年7月20日 釧網本線 細岡駅

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大阪市営地下鉄に、競馬ニホン。

大阪市営地下鉄のホームに来たら、見逃せないのが「競馬ニホン」の広告である。
「競馬ニホン」は、手元にある昭和50年当時の本町駅を撮ったモノクロ写真にも載っている。40年以上前からある広告だ。一体、どなたが描いているのだろう。レースで競っているとは思えない飄々としたジョッキーの表情が魅力だ。蹴り上げる砂煙がポイントで、古い写真にもモクモクとした線がある。画風が変わっていない。
ちなみに、日本を「ニホン」と読むか「ニッポン」と読むかは分かれるところだが、法律では明確な定めがないそうだ。昭和9年に「放送用語並発音改善調査委員会」が「正式な国号として使う場合は、『ニッポン』。その他の場合は『ニホン』と言ってもよい」という方針を決定している。広辞苑では、「古来ニッポン、ニホンと両様に読まれる。ニッポンの方が古いが(略)」とあった。
そう言えば、大阪市営地下鉄は日本橋(にっぽんばし)駅と読む。近鉄も同じだ。
いろいろ考える楽しみを与えてくれる広告だが、写真を撮ったら偶然駅名標が写り込んだ。西梅田駅は和文に見出しゴシックMB31を使う。旧サインのもので、今後刷新が進めば、ヒラギノUD角ゴシックに変わっていく。

2017年6月10日 大阪市営地下鉄 四つ橋線 西梅田駅

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参考:NHK放送文化研究所
https://www.nhk.or.jp/bunken/summary/kotoba/research/002.html

明覚駅のホーロー引き

明覚、明覚駅・・・と聞いて思い出した。琺瑯(ホーロー)引きの柱用乗場案内標のある駅である。しかも、楷書体だ。
これまで、列車が停車するわずかの間になんとか撮影していた。それが友人の演奏会がきっかけで下車することになった。これはチャンスである。

2017年6月11日 八高線 明覚駅

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このした でんき あぶない!

有言実行で、ふたたび四国へ。といっても奥深くに分け入れないのは毎度のことだが、とにかくもう一度来られた。
屋根のない跨線橋を渡って向こう側へと思ったところで、橋の上にこんな看板を見つける。黄色地に黒文字、強調したいところは赤色に、男の子が「ビリビリ」とした様をよく演じている。省略と強調の妙技が注意を喚起する看板の見どころだ。目のバッテンが昭和風の味わいという声も聞かれたがその通りとおもう。目は、鳥の足跡を向かい合わせにしたようなぎゅっとつぶった形もあるが、バッテンはより省略が効いている。痛そうだし、つらそうだ。早く手当てしてあげたくなる。
鴨川駅は電化区間で架線を通している。そのため、橋桁と架線が接近しており、「このした でんき あぶない!」なのだろう。金網が高いので、そこまで電気に触れることはなさそうだが、過去に何かあったのかもしれない。

2017年5月1日 予讃線 鴨川駅

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四国へ。

といっても四国の入口をうろうろして引き返してきている。もっと奥へと進んでいきたいが、時間とお金に限りがある。次回こそはと心に決めて宇多津駅を後にした。
しばらく乗って下車した琴平駅では改修工事の真っ最中だった。ホームの上家の板を取りはずしてはバーン、バーンと床に並べていく。新品の駅名標はビニールの被さったまま屋根に取り付けられていた。時折風でバサバサと鳴る。どうやら新しいものは駅名が角ゴシック体のようだった。従来の丸ゴシック体が四国らしいように感じていただけに、替わってしまうのは少々惜しいような気がする。

2017年1月24日 予讃線・本四備讃線 宇多津駅

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Appendix

プロフィール

中西あきこ

Author:中西あきこ
フリーライター。
レトロ感覚あふれる鉄道の看板や書体・フォントを探して、取材をつづけています。

WORKS

『鉄道ジャーナル』(鉄道ジャーナル社)
2014年6月(NO.574)~
「されど鉄道文字」連載。
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◆ お知らせ ◆
『されど鉄道文字 駅名標から広がる世界』(鉄道ジャーナル社:発行 成美堂出版:発売)を書きました。
詳しくは下記をご覧ください。

されど鉄道文字
(鉄道ジャーナル社ホームページ)

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