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北国にたたずむ「国鉄」の風景/されど鉄道文字PLUS(24)

JR北海道のホーロー引き柱用縦型駅名標のことを書きました。
「鉄道ジャーナル」 2018年3月号(1 / 20発売)掲載です。
どうぞよろしくお願いいたします。

中西あきこ

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2017年12月24日 函館本線 苗穂駅

乗車位置の案内札

札幌駅のホームには、時折り、天井の空いたところから雪が舞い込んでくる。手がかじかむ。指が硬くなり動かしにくい。そうなると、ベースキャンプのロッテリアに一旦戻る。ほぐしてから、ふたたびホームに向かった。
北海道では低気圧の接近で、列車も人も立往生していた。しきりに放送が流れる。どこで列車は止まっているのか、どこの線路上に倒木が起きたのか、どの駅付近の架線に飛来物が引っ掛かったのかを伝える。しばらく、事態が好転することはなさそうだ。無駄足と分かっていても、とにかくホームへ戻った。
札幌駅の放送では、列車の乗車位置を示した表示を「案内札」と呼んでいる。そしてその前でお待ちくださいと言う。頭の少し上に列車名と列車種別と号車番号を書いた札が上下をワイヤーに引っ掛け取り付けてある。色とりどり、様々の札がある。随分前の、上野駅や東京駅、新宿駅や大宮駅の様子を思い出した。足元に書かれるより、じつはこちらの方がずっと馴染みがある。子供だと高い位置で少し見づらいかもしれない。しかし、足元にあるより、メンテナンスしやすく、取り換えも容易で、便利ではないかと思っている。括りつけられたものが落ちてきたという話も聞かないから、そうした心配も少ないかもしれない。
それが、5面あるホームに必ずと言っていいほど下がっている。案内札も、札幌駅らしい眺めを作るものだなと思った。
それにしても、もうすぐ3時間になる。列車はなかなか、乗車位置へ現れそうにない。

2017年12月25日 札幌駅ホーム

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砂箱の砂は。

筆書きの「砂箱」「新さっぽろ駅」が目に入った。
ホームの隅にひっそり置かれている。どこか、路傍の馬頭観音か道祖神のようでもある。
砂箱は冬の北海道に欠かせない。つるつるとした路面にまく滑り止めの砂を入れておく。私たちの足元を守る、身の安全のより所だ。
けれども、地下鉄のホームにも凍結用に準備して置いてあるとは知らなかった。冬の厳しさが伝わってくる。

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2017.12.24 札幌市営地下鉄東西線 新さっぽろ駅

謹賀新年

新年あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
小さいところを覗いていたら、意外にも広い世界へ通じる入り口だったのだなあということを書いて旅してまいります。
みなさまのご健康を心からお祈りいたしております。

2018年元旦 中西あきこ

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「ひかりは北へ」

桜木町駅には、何かの用事で歩いたついでに利用することが多い。
ホームに立つと、位置についてから思い出すのが乗車位置のタイルだ。右に東北新幹線、左には陸蒸機が描かれる。なんともひょうきんで可愛らしい目鼻口まで付いている。従来の停車位置にこのタイルが点々と残っているのだが、現在は黄色い点字ブロックに敷かれてしまい、お役は御免となっている。面の半分ほどかぶさっているものなど、どうにもはっきりしないものばかり。それならいっそ痕跡ごと無くしてくれた方が、なにかとこちらの動揺も治まるが、チラチラと半分ほど見えるというのはどうにも煽られて体によくない。
思いきってこの際、残っているのを探して撮っておこうとホームの端から端まで歩いた。すると辛うじて確認できる、比較的状態の良いものが見つかる。200系新幹線電車のグリーンがやや色落ちしているが、分からない程ではない。
汽笛一声新橋を離れて、かつて横浜駅があった桜木町駅まで、鉄道発祥の地を元気にアピールする隣りの陸蒸機くんとともに、東北新幹線開業35周年の年を祝いたい。

2017年9月9日 京浜東北線・根岸線・横浜線 桜木町駅

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気になる「浜」の字

横浜市民だからかもしれない。日頃、「浜」の字をよく目にする。
そんな「浜」だからこそ、気になるというのが、この琺瑯引きの文字である。
おそらく、教わった書き順が違うのかもしれない。
まずは、さんずいを書く。次に旁の1画目を右から左下に短くはらう。ここで目の前の「浜」は、そのハライの収筆から右に向かって横一文字を引いている。
本来なら2画目の線は、1画目の最後につなげて上から下に線をおろすはずである。出来上がりは「丘」になるはずだが、それをわざわざそうしなかったのは、上下にわずかな隙間を作ることで、版下の加工になにか良いことがあったからか、とも考えてみる。
文字の版下は、文字全体に対して縦画と横画に分類し、縦画用に1枚、横画用に1枚といった具合でフィルムをカットして作る。そのため、効率よく仕上げる工夫がどこかにあったかもしれない。
しかし、それを上回る予想は、携わった職人の書きクセではなかろうか、ということである。この線が色濃くにじんでくるのだが、他にもないか探してみよう。

2017年9月7日 大宮駅 京浜東北線1・2番ホーム階段

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遠鉄バスのかわいいピンポン

旅先で見つけたと教えてくれる友人がいて、まさかそう簡単に見られる訳はないと思いながらも、東海道本線の天竜川駅から歩いて大通りに出て、そのまま来たバスに乗って浜松駅を目指した。
そんなに都合のいいことは・・・と言いながら車内の窓辺を見ると、友人の教えてくれたイラスト付きのピンポンが目に留まる。眼鏡をかけた運転士さんが笑顔で「ありがとうございました」と片手を挙げて挨拶している。まさにこれを見たかった訳だが、あまりに突然のことで思わず挙動不審になってしまう。お蔭で本物の運転手さんに、走行中は立たないようにと注意される始末である。
なんとか無事に撮り終え、浜松駅で下車してバスの外観を眺める。「超低床バス 人・まち・環境にやさしいオムニバス」と側面に書いてあった。最新の機能をいろいろ搭載したバスであったような気もするが、こんなに世代のギャップを感じる押しボタンが付いているとは、外見からではなかなか想像がつかない。

2017年8月5日 遠鉄バス

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北の大地の琺瑯引き

ノロッコ号で塘路(とうろ)駅から折り返す。引き続き乗り込んで、望遠レンズに替えて待った。
観光ガイドさんが「のろのろ走るからノロッコ」と言っているのを聞いて、安心してはいけない。わりにスピードを出す、緑色のディーゼル機関車である。
釧路湿原を縫い、だんだんと駅が迫ってきた。窓から構える。なかなか駅名標の近い位置に停まってくれないのはいつものことである。
レンズの先には北海道の定番、国鉄末期に設置された縦型の琺瑯(ほうろう)引き駅名標だ。紺地に白文字、ひらがなの書体はすみ丸ゴシック。下にはサッポロビールの広告が入る。いかにも北海道らしい。分かっていても見たくなるご当地のかたちだ。
書体はJR東海の駅名標に受け継がれるが、そのルーツの一端がここにある。琺瑯は寒冷地にもよく耐え、まだ各駅にしっかり残っている。なんとか永らえて欲しいものだ。

2017年7月20日 釧網本線 細岡駅

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Appendix

プロフィール

中西あきこ

Author:中西あきこ
フリーライター。
レトロ感覚あふれる鉄道の看板や書体・フォントを探して、取材をつづけています。

WORKS

『鉄道ジャーナル』(鉄道ジャーナル社)
2014年6月(NO.574)~
「されど鉄道文字」連載。
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◆ お知らせ ◆
『されど鉄道文字 駅名標から広がる世界』(鉄道ジャーナル社:発行 成美堂出版:発売)を書きました。
詳しくは下記をご覧ください。

されど鉄道文字
(鉄道ジャーナル社ホームページ)

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